ベトナムに来て8年、営業一本でやってきました。
その間ずっと向き合ってきたのが、「どうやって人とつながるか」という問題です。ベトナムでは日本人コミュニティが狭いぶん、人脈がそのまま売上に直結します。
この話は、意外と誰もまとまった形では語りません。感覚でやっている人が多く、わざわざ言語化する機会がないからだと思います。だからこそ、これからベトナムに来る方、赴任したばかりで何から手をつければいいか分からない方に向けて、実際にやってきたことをそのまま書きます。
友達のつくり方ではなく、ビジネスにつながる人脈のつくり方の話です。
目次
Toggle1. 人脈は「場に出た回数」でほぼ決まる
先に結論を書きます。
ホーチミンでの人脈は、才能でも話術でもなく、場に出た回数でほぼ決まります。
理由は単純で、日本人コミュニティが狭いからです。ホーチミンには1万人近い日本人が住んでいますが、ビジネスの場に出てくる層はそのごく一部です。同じ会に何度も出ていると、必ず顔が重なり始めます。3回目には「またお会いしましたね」になり、5回目には紹介が回ってきます。
そしてもう一つ、ベトナムならではの事情があります。駐在員は3年から5年で入れ替わります。 つまり、人脈は放っておくと目減りします。逆に言えば、常に新しい人が入ってくるので、出続けていれば関係は増え続けます。
一度つくって終わりではなく、出続けることが前提になる。これが海外での人脈づくりの実態です。
2. 月例の交流会(不特定多数型)
もっとも手っ取り早いのがこれです。
ホーチミンでは、毎月決まった日に開かれる交流会がいくつもあります。三水会や渡越の会などが代表的で、業種も年代もばらばらな人が集まります。渡越の会は、ここ数年でベトナムに来た人向けのコミュニティとして月1回ペースで開かれており、20代から60代まで幅広い層が参加しています。
メリット
効率が圧倒的に良いことです。1回の参加で10人以上と名刺交換できます。赴任してきたばかりで知り合いがゼロの状態なら、まずここから入るのが最短です。
デメリット
営業目的の参加者が多いことです。その回に誰が来ているかで価値が大きく変わるので、当たり外れがあります。1回行って「意味がなかった」と判断するのは早すぎます。 3回は続けてください。
3. 企業主催のセミナーと懇親会
私が最も重視しているのがここです。
会計事務所、法律事務所、人材会社、コンサルティング会社などが定期的にセミナーを開いており、その後に懇親会が設定されていることがよくあります。
この場の価値は、参加者の質にあります。
セミナーに参加するのは、その分野に実際の課題を抱えている企業です。しかも業務時間中に時間を割いて来ているため、決裁に近い立場の人が来ます。製造業や商社の管理職など、普段の飲み会にはまず出てこない層に会えるのがこの場です。
テーマ選びも重要です。労務、税務、法改正といった実務系のセミナーほど、真面目な企業が集まります。
参加費がかかる場合もありますが、会える相手の質を考えれば、交流会より費用対効果は高いと考えています。
4. 県人会・同窓会・同年代の会(属性でつながる)
ホーチミンには、愛知、福岡、兵庫、長野、大分など各県の県人会があり、大学の同窓会も数多く存在します。法政、関西大学、上智、東京外国語大学、横浜国立大学など、それぞれ会が活動しています。ほかに「サイゴン平成会」のような同年代の会もあります。
この種の会の強みは、最初から共通の話題があることです。
初対面でも出身地や母校という接点があるため、名刺交換からの距離の詰め方がまったく違います。交流会で30分かかる距離を、5分で詰められます。
福岡県人会が「赴任したばかりの方の出会いの場として使ってほしい」と案内しているように、新任者を迎え入れる前提の会も多くあります。
自分の出身地や出身大学の会がホーチミンにあるかどうか、一度調べてみる価値はあります。
5. スポーツ系サークル(もっとも深くなる)
野球、サッカー、テニス、バドミントン、ゴルフ、そして最近はピックルボール。ホーチミンには日本人のスポーツサークルが数多くあります。
ここが、実はもっとも関係が深くなる場です。
理由は3つあります。
まず、一緒に体を動かすと距離が縮まるのが早いこと。次に、月1回など定期的に顔を合わせるため、自然に関係が続くこと。そして、その場で営業をしないからこそ信頼されることです。
交流会では「営業に来た人」として見られますが、サークルでは一人の人間として見られます。半年後、相手が課題を抱えたときに最初に思い出してもらえるのは、後者です。
日本にいたら接点のなかった業種、年齢、役職の人と普通に友人になれる。これは海外ならではの環境だと思います。
6. 情報はどこで拾うか
会の存在を知らなければ参加できません。情報源は主に次のとおりです。
- 週刊ベッター(wkvetter.com)。ベトナム最大発行部数の日本語フリーペーパー。イベント・セミナー情報が毎週更新される
- ベトナムスケッチ、週刊SKなどのフリーペーパー。 サークル一覧が掲載されている
- ホーチミン日本商工会議所(JCCH)。 会員企業向けの行事。会員企業は1,000社を超える
- ホーチミン日本人会。夏祭り、スポーツ大会、新年会など
- Facebookグループ。各サークルが告知に使っている
ベッターは公式LINEでも情報を配信しているので、登録しておくと手間がかかりません。
7. 参加するときの7つのコツ
出るだけでは人脈になりません。実際に効くのは次の点です。
- 初回は営業しない。 何をしている人かだけ伝えて、売り込まない
- 同じ会に3回続けて出る。 1回では顔を覚えてもらえない
- 「何屋さんですか」に10秒で答えられるようにしておく。 長い説明は覚えられない
- 名刺を切らさない。 1回の会で10枚以上出ることがある
- 二次会に残る。 本当の話が出るのは二次会以降
- 翌日のうちにZaloでつながる。 メールより圧倒的につながりやすく、既読率も違う
- 幹事や運営を引き受ける。 これが最短ルート。参加者全員と話す理由ができる
最後の項目が、8年やってきて一番効いたやり方です。参加者として100回出るより、幹事を1回やる方が関係は広がります。
8. 交流会では会えない人がいる
最後に、正直な限界もお伝えします。
交流会やセミナーで会えるのは、業種がかなり偏ります。サービス業、人材、不動産、士業、飲食といった、人と会うこと自体が仕事につながる業種が中心です。
一方で、工業団地に工場を構える製造業の日本人責任者は、こうした場にほとんど出てきません。市内に住んでいる方も多いので、距離の問題ではありません。
理由は、その方たちの性質にあります。
まず、営業をかけられること自体を好まない方が多いことです。交流会に行けば必ず売り込まれると分かっているので、最初から近寄りません。次に、大人数の集まりを好まない方が多いことです。日々現場で品質や納期と向き合っている方ほど、名刺交換だけの場に価値を感じにくい傾向があります。
つまり、交流会に出てこないのは偶然ではなく、その場の性質が合わないからです。何度通っても、この層には届きません。
人脈づくりと、製造業への新規開拓は別の活動です。ここを混同すると、忙しく動いているのに成果が出ない状態になります。
製造業に売りたいのであれば、会いに行くしかありません。ただし、そのアポイントを取ること自体が簡単ではないのが実情です。
まとめ
ホーチミンでの人脈づくりは、次の4つを使い分けるのが基本です。
交流会は広く浅く数を稼ぐ場、セミナーの懇親会は質の高い相手に会う場、県人会や同窓会は距離を一気に詰める場、スポーツサークルは長く深い関係をつくる場。目的が違うので、どれか一つではなく組み合わせて使います。
そして最も大事なのは、続けることです。駐在員は数年で入れ替わるため、人脈は放っておけば減っていきます。逆に、出続けている人のところには、常に新しい縁が集まります。
才能の差ではなく、回数の差です。
製造業への新規開拓はお任せください
人脈づくりでは届かない相手がいます。工業団地に構える日系製造業が、その典型です。
弊社オタスケは、ベトナムの日系製造業とのつながりを強みとしている会社です。リストアップ、アポイント獲得、訪問同行まで一貫して承っております。
交流会では会えない相手に会いたいときは、一度ご相談ください。







