ロンアンの工業団地まとめ|ロンハウ・KIZUNA・フーアンタンの特徴

ロンアンの工業団地まとめ|ロンハウ・KIZUNA・フーアンタンの特徴

ホーチミン近郊の工業団地というと、ビンズオンやドンナイの名前がまず挙がります。ただ、中小規模の日系工場、特に食品関連の企業に営業したいなら、見逃せないのがロンアンです。

ロンアンは、ホーチミン市の南西に接し、メコンデルタへの玄関口にあたるエリアです。大手の大型工場よりも、レンタル工場に入る中小企業や食品工場が多いという、ビンズオンやドンナイとは違う特徴があります。

今回は、ロンアンの主要な工業団地を3つのエリアに分けて整理し、営業で回るときの実務と、現場で役立つ人との距離の縮め方をまとめます。

ホーチミン近郊全体の工業団地については「ホーチミン近郊の工業団地まとめ」、ビンズオンとドンナイについてはそれぞれ「ビンズオンの工業団地まとめ」「ドンナイの工業団地まとめ」で紹介しています。

1. ロンアンは中小規模・食品系の日系工場が集まるエリア

ジェトロの2025年の調査によると、ロンアンの工業団地に入っている日系企業は合計で約105社です。ドンナイ(約250社)やビンズオン(約240社)と比べると半分以下の規模で、日本からの投資認可は162件・約12億ドルです。

日系企業は、特定の団地に強く集中しています。

工業団地 日系 全体
Long Hau(ロンハウ) 42社 183社
Tan Kim(タンキム)※KIZUNA 1・3 25社 117社
Tan Duc(タンドゥック) 12社 194社
Phuc Long(フックロン)※KIZUNA 2 4社 45社
Phu An Thanh(フーアンタン) 4社 50社
Hai Son(ハイソン) 3社 266社
Duc Hoa 3 Viet Hoa(ドゥックホア3・ベトホア) 3社 16社

ロンハウとKIZUNAの2か所だけで、ロンアンの日系企業の6割以上が集まっています。

逆に、ハイソン(266社中3社)のように、入居企業は多くても日系企業がほとんどいない団地もあります。営業で回るなら、団地の大きさではなく日系企業の数で選ぶことが大切です。

なお、2025年7月の行政区再編で、ロンアン省はタイニン省に統合されました。省の中心は旧ロンアン省側に置かれていますが、現場では今も「ロンアン」と呼ぶのが一般的なので、本記事でも旧省名で整理します。

2. 南側:カンジュオック(車で約1時間)

ホーチミンの7区やニャーベーから南へ向かったエリアです。ロンアンの日系企業の多くがここに集まっています。

Long Hau(ロンハウ)

ロンアンで最も日系企業が多い団地で、183社のうち42社が日系です。ホーチミン中心部まで約19km、サイゴン・プレミア・コンテナターミナルまで約3kmと、港に非常に近い立地です。

入居企業は食品系や金属加工系などさまざまです。特に最近は、食品工場がレンタル工場で進出してくる話をよく聞きます。

開発会社には日本人の担当者がいて、団地内の企業同士のつながりも強いのが特徴です。団地の中にはローカル料理の食堂があり、営業の合間の昼食にはここが便利です。

KIZUNA 1・2・3(キズナ)

日系中小企業のために作られたレンタル工場です。KIZUNA 1・3はタンキム工業団地、KIZUNA 2はフックロン工業団地の中にあり、現地では工業団地名よりも「KIZUNA」の名前で呼ばれています。

総工場面積は20万平方メートル以上で、入居企業の約9割が外資系、そのうち約半数が日系企業です。240平方メートルの小さな区画から借りられるため、中小規模の日系企業が多く入っていて、食品系の工場も目立ちます。7区との間にはシャトルバスも運行されています。

近くのコープマート(Co.opmart)にはロッテリアなどのファストフード店が入っていて、昼食をとるのに使えます。

3. 西側:ベンルック(車で1時間15分〜1時間半)

ホーチミンからメコンデルタへ向かう高速道路沿いのエリアです。

Phu An Thanh(フーアンタン)

日系企業は50社中4社と数は多くありませんが、日系の大型拠点がある団地です。

横浜冷凍(ヨコレイ)の冷蔵倉庫「ベンルック物流センター」は、収容能力4万5000トンの大型施設です。住友林業のパーティクルボード工場(Vina Eco Board)もこの団地にあります。周辺にはハイネケンのビール工場もあります。

このエリアの特徴は、冷凍冷蔵倉庫が急速に増えていることです。ベトナムの水産加工食品の約8割はメコンデルタで生産されていて、ホーチミンとメコンデルタの中間にあるこのエリアは、野菜や水産物を保管する拠点として重要になっています。

ただ、冷凍冷蔵倉庫の関係者に話を聞くと、3〜4年前まではほとんどなかった倉庫がここ最近で一気に増え、今は貨物の取り合いになっているそうです。物流や倉庫に関わる商材を扱うなら、各社が集荷や効率化に課題を抱えているエリアだと言えます。

4. 北西側:ドゥックホア(車で1時間15分〜1時間半)

ホーチミンのクチやビンチャンに接するエリアです。入居企業の多い大型団地が並んでいますが、日系企業は少なめです。

主な日系の拠点としては、ドゥックホア3工業団地にサッポロのビール工場があります。2011年に稼働した工場で、ビール造りに適した水資源があることが進出の理由の一つとされています。

このほか、タンドゥック工業団地には名糖運輸の低温倉庫があり、ここでも冷凍食品の加工業者の進出が増えています。フータン工業団地には、サントリーペプシコが工場を建設しています。

ハイソン(266社中3社)やタンドゥック(194社中12社)のように、規模は大きいものの日系企業の比率は低い団地が中心です。日系企業に絞って営業する場合は、優先度を下げて考えてよいエリアです。

5. 営業目線の裏話

ここからは、普段あまり語られない話です。

狙い目は、最近進出してきた食品工場です。

ロンハウに最近進出している製造業は、そのほとんどが食品工場で、しかもレンタル工場への入居です。進出したばかりの企業は、取引先や協力会社がまだ固まっていません。設備、物流、人材、包装資材など、さまざまな分野で新しい取引先を探している段階なので、話を聞いてもらえる余地が大きくなります。

訪問したら、必ず次の紹介を頼みます。

ロンハウやKIZUNAは、入居企業同士の横のつながりが強い場所です。訪問した際には「同じ団地で、どなたかご紹介いただける方はいませんか」と一言添えることで、次のアポイントにつながることがあります。

そして、もう一つ効くのが「7区で飲みましょう」です。

ロンアンの駐在員の多くは7区に住んでいます。一方、ホーチミンで会食や飲み会をするとなると、多くの人は1区のレタントンエリアやBinh Thanh区のファンビッチャンエリアに集まります。7区からレタントンやファンビッチャンに足を運ぶ人は多くありません。

だからこそ、「今度7区でいいお店があったら飲みましょう」と声をかけると、喜んでもらえることが多いのです。商談の場だけでは縮まらない距離が、1回の会食で一気に縮まることもあります。

6. アポの取りやすさと駐在員の住まい

ロンアンの工業団地は、ホーチミンから1時間から1時間半ほどの距離にあり、アポイントは比較的取りやすい印象があります。特にロンハウは、団地内のつながりもあって話が広がりやすい団地です。

駐在員のほとんどは7区、特にフーミーフンに住んでいます。南側のロンハウやKIZUNAへは、7区から通いやすいためです。

工業団地の周辺は基本的にローカル料理の店が中心で、昼食はローカル料理になります。一方、駐在員の多い7区では日本食の店も徐々に増えてきていますが、韓国街とも呼ばれるほど韓国料理店が多いエリアです。夜の会食の場所には困りません。

7. 回り方の組み立て

ロンアンを回るときは、南側と北西側を同じ日に組まないことが前提です。位置が離れていて、移動だけで時間を使ってしまいます。

組み立ての目安は次のとおりです。

  • 南側(ロンハウ、KIZUNA)は、ホーチミンの7区のタントゥアン、鶴見ポンプなどが入るヒエップフック工業団地と組み合わせる
  • 北西側(ドゥックホア)は、タンソンニャット空港近くのホーチミン市内の工業団地と組み合わせる
  • 1日3〜4社を目安にし、運転手付きのレンタカーを手配する

特に南側は、7区のタントゥアン、ヒエップフック、ロンハウ、KIZUNAが一本の線上に並ぶため、ホーチミン市内とロンアンを同じ日に効率よく回れます。

まとめ

ロンアンは、ビンズオンやドンナイと比べると日系企業の数は少ないものの、中小規模の日系工場や食品工場が集まるエリアです。日系企業の6割以上が、ロンハウとKIZUNAの2か所に集まっています。

エリアは南側のカンジュオック、西側のベンルック、北西側のドゥックホアに分かれます。日系企業を狙うなら南側が中心で、7区やヒエップフックとあわせて回るのが効率的です。西側では冷凍冷蔵倉庫が急増し、物流のあり方が大きく変わりつつあります。

そして、最近進出した食品のレンタル工場は、取引先を探している段階にあります。訪問のたびに次の紹介を頼み、7区での会食で距離を縮める。その積み重ねが、ロンアンでの営業を広げていきます。

弊社オタスケでは、ロンハウやKIZUNAをはじめとするロンアンの工業団地で、日系企業へのアポイント設定から訪問同行までを承っています。最近進出した食品工場など、公開情報だけでは見つけにくい企業へのアプローチについてもご相談ください。

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この記事の著者

OTASUKE VIETNAM 代表取締役 加藤 亮輔

ベトナムの営業現場に精通する専門家。物流、スタートアップ、現地法人責任者として最前線に立ち続けたのちに、営業代行に特化したOTASUKE(オタスケ) VIETNAMを創業。ベトナム特有の商習慣への深い理解を基に「成果にコミットする現地営業部隊」として、多くの日本企業の営業、認知拡大を支援する。

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