ホーチミン近郊の工業団地まとめ|エリア別の距離感と効率よく回るためのコツ

ホーチミン近郊の工業団地まとめ|エリア別の距離感と効率よく回るためのコツ

ベトナム南部で製造業を相手に営業するなら、訪問先はほぼ工業団地に集中します。

ただ、地図を見ただけでは1日の行動計画が立ちません。同じ「ホーチミン近郊」でも、車で30分の団地と2時間かかる団地があり、そこを理解していないと訪問が1日1社で終わってしまいます。

今回は、南部の主要な工業団地をエリア別に整理し、ホーチミン市中心部からの所要時間と、実際に回るときの組み立て方をまとめます。

1. 2025年7月の行政区再編で住所表記が変わった

最初に押さえておくべき点です。2025年7月1日、ホーチミン市とバリア・ブンタウ省、ビンズオン省が統合されて新しいホーチミン市となり、ロンアン省はタイニン省に統合されました。ドンナイ省はビンフオック省を統合しています。

実務への影響は次のとおりです。

  • 企業の登記住所が変わっているため、古いリストの住所は現行のものと一致しない
  • 名刺や会社案内は旧表記のままの企業が多い
  • 現場では今も「ビンズオン」「ロンアン」と呼ぶのが一般的

本記事でも、通りが良い旧省名で整理します。検索やカーナビも旧名称の方が確実にたどり着けます。

2. 旧ビンズオン省エリア(車で1時間〜2時間)

日系製造業がもっとも集積しているエリアです。距離によって、大きく2つの層に分かれます。

手前側(車で約1時間)

VSIP1(ベトナム・シンガポール工業団地1)を中心とした一帯です。イオンモールがある地域で、市内からのアクセスが良く、日帰り訪問の負担が最も軽い場所です。同じ圏内にソンタン、ドンアン、ベトフーンといった団地があります。

奥側(車で1時間半〜2時間)

VSIP2、VSIP2-A、ミーフック1・2・3、プロトレードなど、東急不動産が開発に関わる地域を含む一帯です。渋滞に当たると2時間近くかかります。ほかにナムタンウエン、ダイダン、バウバンといった団地もあります。

さらに奥にVSIP3があり、2025年4月にレゴが東南アジア初の工場を開所しました。VSIP3はスマート技術を取り入れた工業団地として2022年に着工したもので、入居はこれから増えていく段階です。

ポイントは、手前側と奥側を1日にまとめないことです。往復だけで時間を使い切ります。

3. ドンナイ省エリア(車で1時間〜1時間15分)

こちらも日系製造業が非常に多いエリアです。

アマタ工業団地(約1時間)

日系企業の集積という意味で最も代表的な団地です。総面積700ヘクタール、入居170社のうち日系企業が73社を占めています。ホーチミン市から30km程度でビエンホア中心部にも近く、訪問効率の良い場所です。

ロンドック工業団地(約1時間15分)

双日が開発に関わる団地で、入居企業のほとんどが日系です。日本語で話が通る度合いが高く、初めて回るエリアとしても入りやすい場所です。

ニョンチャック工業団地群(約1時間)

ニョンチャック1から6まであり、ここも日系企業が多く入居しています。

このほか、ビエンホア2、ロテコ、ロンタン、ジャンディエン、バウシェオ、アンフオックなどがあり、ビエンホア周辺だけでかなりの数の訪問先を確保できます。

4. 旧ロンアン省エリア(車で1時間前後)

現在のタイニン省です。ホーチミン市中心部から車で1時間ほどという近さに加えて空港や港が近く、進出理由としてその地理的優位性を挙げる日系企業が多いエリアです。飲料製造、食品加工、木材加工、家畜飼料製造、電子・精密機器製造と業種の幅が広いのも特徴です。

ロンハウ工業団地(約1時間)

日系企業が非常に多い団地です。ホーチミン市中心部まで19km、タンソンニャット国際空港まで25kmという立地です。

キズナ(レンタル工場、約1時間)

キズナ1・2・3があり、中小規模のレンタル工場として日系企業に広く使われています。総工場面積20万平方メートル以上、入居企業の90%が外資系で、その半数を日系企業が占めています。食品系の工場も多く入っています。

ほかにタンキム、フックロン、ハイソン、カウチャム、タンドゥック、フータン、ドゥックホアなどの団地があります。

5. 旧バリア・ブンタウ省エリア(車で1時間45分〜2時間)

距離はありますが、重工業や素材系の大型工場が集まるエリアです。

フーミー工業団地群

フーミー1、フーミー2、フーミー3があり、特にフーミー3特別工業団地には日系企業が多く入っています。フーミー2にはPosco、Yamato Vina、Hyosung、日本製鉄などが入居しています。

このほか、チャウドゥック、ミースアンB1、カイメップ、ダットドー1、ドンスエンといった団地があります。

片道2時間近くかかるため、このエリアは1日がかりの行程として単独で組むのが現実的です。ビンズオンやドンナイと同じ日に入れると破綻します。

6. ホーチミン市内(車で20〜30分)

市内にも工業団地があり、移動時間を最小化したい日に使えます。

タントゥアン輸出加工区(20〜30分)

7区にあるベトナム最古級の工業団地で、駐在員が多く住むフーミーフンに隣接しています。開発当初から日系企業が多数進出しています。

このほか、ヒエップフック(ニャーベー、市内最大規模)、リンチュン1・2・3、タンタオ、ビンロック、レミンスアン、タンビン、タンフーチュン、サイゴンハイテクパークなどがあります。

午前中に市内の団地を回り、午後を別の用件に充てる、といった組み方ができるのが市内の利点です。

7. 1日1社はもったいない。移動の組み立て方

ここからが実務の話です。

片道1時間から2時間かけて1社だけ訪問するのは、時間の使い方として明らかに非効率です。 1社だけであればGrabやタクシーで行けば済みますが、それで1日が終わってしまいます。

1日に3~4社を回るのであれば、運転手付きのレンタカーを手配した方が便利です。料金は1日あたり200万ドン程度が目安で、タクシーを何度も乗り継ぐのと比べて大きく変わりません。待機してもらえるので、団地の中を移動する際も効率的です。

組み立て方の原則は次のとおりです。

  • 同じエリア内で複数社をまとめる(ビンズオンとドンナイを同日に入れない)
  • ビンズオンは手前側と奥側を分ける
  • バリア・ブンタウは単独で1日を確保する
  • 移動時間の読めない夕方には、市内の訪問を置く
  • 昼休み(12時00分〜13時00分)は現場が動かないので移動に充てる

問題は、この3~4社のアポイントをどう確保するかです。

正直に言えば、製造業は最もアポイントの取りにくい業種です。工場には営業担当の窓口が置かれていないことが多く、代表番号にかけても現場につながりません。決裁権を持つ日本人の工場長や管理職は現場に出ていて、そもそも電話に出られる時間が限られています。飛び込みで門を入ることもできません。

つまり、商材の良し悪し以前に、まず会うこと自体の難易度が高い業種だということです。ここが訪問営業で最も手間のかかる部分になります。

8. 工業団地は「中でつながっている」

最後に、工業団地を回る最大の利点をお伝えします。

同じ団地の中に入っている日系企業同士は、普段から情報交換をしています。駐在員の数が限られているため、横のつながりが濃いのが特徴です。

そのため、1社、2社と訪問して商材が良ければ、その場で団地内の他社を紹介してもらえることが珍しくありません。 「あそこの会社も同じ課題を抱えているはずだ」という形で話がつながります。

これは飛び込みや電話では起こらない現象です。実際に足を運び、顔を合わせた相手だからこそ紹介が生まれます。

週に1回でも工業団地を回る日を作れれば、訪問先は紹介によって自然に増えていきます。逆に言えば、最初の数社にたどり着けるかどうかが、すべての起点になります。

まとめ

ベトナム南部の工業団地は、エリアごとに距離感がまったく違います。

市内が20〜30分、旧ロンアンとドンナイが1時間前後、旧ビンズオンが1時間から2時間、旧バリア・ブンタウが2時間近く。この感覚を持っているかどうかで、1日に回れる社数が変わります。

そして、移動の効率以上に重要なのが、同じエリアで複数のアポイントをそろえることです。1社のために2時間かけるのか、4社まとめて回るのか。同じ1日でも成果はまったく違ってきます。

工業団地への訪問営業は、アポイントの確保から訪問ルートの組み立てまで、相応の手間がかかります。特に製造業は窓口が見えにくく、自社だけで進めるには時間のかかる分野です。

弊社オタスケは、ベトナムの日系製造業とのつながりを最も強みとしている会社です。工業団地内の企業との接点を多く持っているため、通常であれば取りにくいアポイントも設定できる場合があります。

リストアップ、アポイント獲得、訪問同行まで一貫して承っております。エリアごとにまとめて訪問できるよう日程を組みますので、限られた時間で効率よく回っていただけます。製造業への営業でお困りの際は、一度ご相談ください。

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この記事の著者

OTASUKE VIETNAM 代表取締役 加藤 亮輔

ベトナムの営業現場に精通する専門家。物流、スタートアップ、現地法人責任者として最前線に立ち続けたのちに、営業代行に特化したOTASUKE(オタスケ) VIETNAMを創業。ベトナム特有の商習慣への深い理解を基に「成果にコミットする現地営業部隊」として、多くの日本企業の営業、認知拡大を支援する。

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